AKAKAGE/I'm your clown

Introduction

AKAKAGE3年ぶりのフル・アルバム!!!

 前作から3年。製作に2年。膨大なデモを作り、その中から厳選した楽曲を納得行くまでアレンジして、AKAKAGEの最新フル・アルバム『I'm Your Clown』は完成した。AKAKAGEらしい「ポップさ」溢れる素晴らしい作品となったが、このアルバムはそれだけを表現するに留まっていない。例えるならビートルズの『サージェントペパーズ』のようなアルバムである。 今回、伊藤陽一郎は自らに「道化師」という役柄を与え、「サーカス」の情景をイメージしながらも、テントの外へもイマジネーションを広げてアルバムのストーリー・ラインを構築した。アルバム・タイトルとした『I'm Your Clown』は彼の「奉仕」の精神を表現すると同時に、かつての「ロック・オペラ」「コンセプト・アルバム」のような物語性を緩やかに喚起する。

 サウンド面では、ビートルズが同アルバムで音楽の幅を一気に拡大したように、伊藤陽一郎も今回AKAKAGE名義を用いて、クラブ・ミュージックの世界から「大きな一歩」を踏み出している。世界中から面白いビートや音をかき集めて来る彼の周囲のネット・ワークをフル活用して“ネタ”を採集。その厳選した素材をAKAKAGEらしい手つきでソフィスティケートし、2010年代のポップ・ミュージックと呼ぶにふさわしいサウンドに仕立てている。

 参加したアーティストは手裏剣ジェット、将絢(Romancrew)、RUB-A-DUB MARKET、Deavid Soul、堀江博久、樋口直彦ら、個性的で豪華な顔ぶれが揃った。また谷中敦(Tokyo Ska Paradise Orchestra)が作詞で参加。アディショナル・プロダクションとミックス、マスタリングは塚田耕司が担当し、それぞれがこのアルバムの世界で、最高のパフォーマンスを披露している。

 伊藤陽一郎自ら創作したジャケットのアートワークと音楽が一体となり、CDを手に取った時に「POP ART」感を楽しめるのも、以前からのAKAKAGE作品の魅力である。“「もの」としてのCD自体が、AKAKAGEの「アート作品」である”。今回はこの当たり前のことを再確認し、聴くもののイマジネーションを喚起する緩やかな「物語性」を設定したことで、より普遍的で親しみ易い、文字通りの「POP ART」となっている。2010年代のポピュラー・ミュージックの定番となること必至の名盤の登場だ!

illustration